パニック障害(不安神経症)を克服!「運動療法効果」で完治をめざそう
2017/01/20
体を動かすことは、薬と同じくらいの効果があります。不安や恐怖をかかえていると、体を動かすのさえおっくうになりがち。しかし運動不足は、体力や気力までうばいます。一方、運動をしていると、薬だけの治療より回復が早くなります。
運動を通して、パニック障害を克服、完治を目指しましょう。
運動はランニングのような「有酸素運動」がおすすめ
運動には、呼吸をしながら(酸素を体内に取り入れながら)行う"有酸素運動"と、呼吸を止めて行う"無酸素運動"があります。無酸素運動は、短距離走や相撲、バーベルを使った筋トレのような負荷の強い運動で、疲労物質を溜めてしまいます。
一方、ランニングのような有酸素運動は乳酸の代謝をうながします。運動療法では、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳、水中ウォークなどを、自分のペースで毎日つづけるのがベストです
過呼吸や動悸を感じるような激しい運動はやめましょう
運動の強さとしては、終わったあと息をきらさず「ふつうに呼吸ができる」、苦しくなく「笑顔でいられる(ニコニコ運動と呼ばれる)」、「汗が心地よく感じる」程度を目安にします。
運動の後、過呼吸になったり、激しい動悸がするような運動は控えましょう。翌日まで疲労を残さない、自分の体力に合った辛いものでも、続けることで十分効果があります。
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運動療法を毎日続ける工夫
日常生活のなかで、習慣にするとつづけやすいものです。朝食の前後は(ひどい空腹時は避ける)散歩をする、土曜日の午後は水泳をする、といったように決めておきましょう。
手帳やカレンダーなどに、時間や体調などを記録しておくとはげみになります。
運動療法がパニック障害に効果がある理由
運動はセロトニンを増やす
パニック障害やPTSDの治療で使うSSRIは、脳の神経伝達物質、セロトニンをふやす働きがある薬です。セロトニンには心を安定させる作用がありますが、運動をすると、このセロトニンの分泌量が増加することがわかっています。
ランニングのような運動にはSSRIと同じような効果があるわけです。
有酸素運動は乳酸の代謝をよくする
乳酸は、強い運動をしたときに筋肉にたまる疲労物質です。また、パニック障害発症の原因となったり、発作を促したりする物質でもあります。
やっかいなのは、パニック障害の人は乳酸の代謝が悪く、体内でできた乳酸が外へ排出されるまでに、健康な人より時間がかかるということです。
そのため、パニック障害の人は運動を避けてしまうのです。乳酸がたまりやすいのは激しい無酸素運動や労働をした場合です。また、運動が不足しても乳酸はたまります。
一方、軽い有酸素運動なら乳酸をエネルギーとして使うので、かえって代謝はよくなり症状の改善にも有効です。
脳を活性化する
運動が、心の病気に効果を見せることは多くの研究で明らかにされています。たとえば、PTSDやうつ病では脳の海馬(情動や記憶にかかわる部位)に萎縮(いしゅく)が見られますが、ランニングやジョギングのような運動をすると、この海馬に新しい神経細胞が生まれることがわかっています。
また、抗うつホルモンの産生をうながす効果もあると言われています。運動によって脳の活性化が期待できるのです。
運動をしている人の方がパニック障害が早く治る確率が高い!
パニック障害の人は、発作を恐れたり、体調が悪くなることを心配して、運動を避けたり、運動に対して、怖いイメージを持っている場合があります。
広場恐怖があれば、行動範囲も狭くなります。PTSDの人も、トラウマのため何も信じられなくなり、ひきこもってしまうことがあります。
心のトラブルは患者さんから、活動性をうばい、運動不足から体力がおちて、ますます動くのがおっくうになる、という悪循環をまねきます。
一方、体を動かして体調がよくなれば、それは心にもよい影響を与えます。実際、薬だけの治療をうけている人と、薬とともにウォーキングやランニングなどのエクササイズをとり入れている人をくらべると、エクササイズをしている人のほうが治りが早く、完治、克服する確率も高いといわれています。
筋肉を使うと、脳由来栄養因子(BDNF)が産生され、それが脳内に入って脳細胞を活性化します。うつ病、不安障害(PTSD)、認知症では海馬の萎縮が見られますが、BDNFはこの海馬の神経細胞を新生させ、健康な心へと回復させるのです。
パニック障害の運動療法「掃除」も効果あり
運動が良いことは、わかっているけど、、運動は苦手、、
そんなあなたは「掃除」から始めることをおすすめします。
身近な家事にも運動効果のあるものがあります。特に、軽く汗をかく程度の掃除がおすすめです。身のまわりや住まいが綺麗になります。それにより、体と心にもよい効果が生まれます。
身近な家事にも、運動効果はある
規則正しく行う、持続的な有酸素運動には、パニック障害の症状を改善し、体力がついてつかれにくくなるという効果があります。ですから、運動は毎日つづけることがベストなのですが、あらたまってやろうとすると、難しいかもしれません。
そのような場合は、汗をかくくらいの掃除から、体を動かすことを始めてみましょう。掃除は思いのほか運動量があります。また、掃除には自分の気持ちを前向きにする、家族関係を改善する(家族から感謝される)など、運動効果以外にもさまざまな相乗効果があります。
第一ステップは、日ごろ使っている自分の部屋の片づけです。部屋は住む人の心を映し出しています。気持ちが落ち込んでいると掃除どころではなくなり、部屋も散らかり放題、ということが少なくないものです。
そういった荒れ果てた状態をキレイにすると、気持ちのほうもスッキリしてきます。
自分の部屋から、共用部分へと掃除する範囲を広げていくと、より多くのプラス効果が得られるでしょう。
運動療法「掃除」の効果
- 運動ができる
- すがすがしい気持ちになれる
- 気持ちが前向きなる
- 部屋がきれいにる
- 人から感謝される
1.運動ができる
始めは掃除機掛けや生理整頓など軽い運動をしていきましょう。慣れてきたら、床拭きや窓掃除などの運動量が多い掃除を取りいれていきましょう。
段階的に運動量をあげていくことで、体が疲れにくくなります。
2.すがすがしい気持ちになれる
部屋がキレイになると、すがすがしい気持ちになります。晴れやかな気持ちになることで心も自然に落ち着いてきます。
3.気持ちが前向きなる
何もしていないと、ネガティブな考えや過去のことばかり考えがちになります。しかし、掃除をすることで気持ちが現在に向き、未来を向いていきます。そして、今を生きる大切さがわかるようになります。まさに、マインドフルネスの心境です。
マインドフルネスについては、認知行動療法に匹敵する!マインドフルネス瞑想で詳しく書いています。
4.部屋がキレイになる
汚れた部屋は、ほこりが溜まり、ぜんそくなどの気管支の病気を誘発したり、カビやダニの温床になります。部屋をキレイに保つということは、心だけではなく体を健康につながります。
5.人から感謝される
掃除に慣れてくれば、家族の部屋や、職場の掃除など、掃除の範囲が広げていきます。そうすると、人から感謝されるようになります。
感謝されることで、やりがいや、生きがいを感じることができます。気持ちも明るくなりますし、人間関係にも良い影響を与えるでしょう。
効果的な掃除の進め方
無理がないように進められる手順を紹介したいと思います。いきなり重労働な掃除から始めないで、すこしずつ運動量を上げていくのがポイントです。
手順1
最初は、自分の部屋の中でテーブルや机のうえなど、よく使うスペースを整理整頓します。手が届く範囲がポイントです。
手順2
クローゼットや本棚などあまり手をかけない場所を整理整頓します。自分の部屋で立ってすこし動く場所がポイントです。
手順3
自分の部屋全体を掃除機掛けします。余裕があれば、棚や窓などの拭き掃除をしてもよいでしょう。
手順4
自室以外の家族で使う共用部分も掃除します。トイレ、廊下、風呂、洗面所どこでもかまいません。ただし、一気に全部しようとせずに、慣れるまでは1ヶ所ずつ行うとよいでしょう。無理は禁物です。
疲労を感じないで、体が温まり、心地よい状態でやめるのがベストです。