パニック障害 カレッジ

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パニック障害(不安神経症)自分でできるメンタルケアとトレーニング

      2017/02/08

こころの病気は、医師だけでは治りません。患者さん自身が、ストレスをためず、運動、睡眠、食事など日常生活を改善することが大切。日頃から、自分でできるメンタルケアトレーニングに取り組んで下さい。

 

 

 

規則正しい生活リズムは、毎日を元気に過ごすための基本

ストレスや不安で生活が不規則になると、体内時計の調子も崩れます。食事や睡眠を規則正しくして、毎日の生活リズムをととのえることは、回復にもつながる最重要ポイントです。

 

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体内時計(主時計)がある場所と、その働き

体内時計がきちんと働くようにするためには、毎朝、決まった時間に起きることが大切です。

視交叉上核(しこうさじょうかく)主時計

左右の目の網膜から延びた視神経が、視床下部で交差しているあたりのすぐ上にある神経細胞群。これが体内時計の主時計で、1日のリズムを刻むペースメーカー的な役割をします。

直径わずか1mmの超小型で、しかも超高性能なこの時計は、朝、目から入ってくる太陽の光を感知すると、松果体(しょうかたい)へ信号を送ります。これが、いってみれば1日のスタートボタンになります。

 

松果体(メラトニンの合成・分泌)

主時計から太陽光の信号が送られてくると、松果体(しょうかたい)は時計ホルモンと呼ばれる「メラトニン」を分泌します。この分泌によって主時計はリセットされ、1日のリズムが始まります。メラトニンは血流に乗って体のすみずみへ「時間の情報」を運びます。

メラトニンは天然の睡眠薬

メラトニンがもっとも多く分泌されているのは、太陽光が届いて14時間くらいあとの、外が暗くなってから、メラトニンには、心拍数を減少させる、血管をリラックスさせる、体温を下げる、消化管の活動を下げる、といった働きがあり、睡眠をうながします。

 

 

小脳

全身の筋肉運動や平衡感覚などをつかさどる部分。

 

視床

脳と脊髄を結ぶ部分で、呼吸や血液循環などに重要な働きを果たします。

 

下垂体

生きていくためにさまざまなホルモンを分泌する器官

 

延髄

脳と脊髄を結ぶ部分で、呼吸や血液循環などに重要な動きを果たします。

 

 

睡眠や食事の乱れは体内時計のリズムをくずす

パニック障害など心の病気があると、どうしても生活のリズムが不規則になりがちです。心理的なストレスがあり、寝つけない、眠りが足りず朝寝坊になる、だんだん昼夜逆転の生活になる、起きていても家に閉じこもる、不安のために3度の食事以外にも絶えず食べ続ける、、、、といった生活になりやすいのです。

しかし、こういった日常生活では、回復はますますむずかしくなります。心身の健康を保つ体内時計のリズムを乱すからです。

体内時計は私たちの体の中にあり、日々の営みをコントロールしています。毎日同じころ眠くなり、一定の時間眠ると目が覚め、朝昼晩同じころにおなかがすくのも、この体内時計のリズムに従い、体の機能が働いているおかげです。

体内時計には「主時計」と「末梢時計」の2種類があり、主時計は脳に、末梢時計は全身の細胞にあります。この2つは、互いに同調することでリズムが正しく刻まれます。

主時計は、朝起きたときに目から入ってきて脳へ届けられる「光の信号」によって、また末梢時計は食事によって上がる「血糖値上昇の信号」によって、また末梢時計は「食事によって上がる「血糖値上昇信号」によってリセットされ、1日のリズムを刻みます。

体内時計を乱さないためには、朝起きる時間や食事の時間をできるだけ一定にして、規則正しい生活にすることができ、それが回復にもつながります。

 

 

体内時計のリズムをととのえるための「5つの工夫」

体内時計のリズムをととのえることは、自律神経やホルモン分泌の働きによい影響を与え、心身の健康を守るために大きな効果があります。そのために生活習慣にしたいことを紹介します。

  1. 毎朝、同じ時間に起きて朝日を浴びる
  2. 3度の食事は規則正しく。特に朝食は大切
  3. 昼間はできるだけ外へ出る機会をつくる
  4. 毎日、できるだけ人とふれ合う
  5. 生活の記録をつける

 

1.毎朝、同じ時間に起きて朝日を浴びる

夜と昼が逆転した生活を変えるには、早く就寝する以上に、「早く起きる」ことが重要です。毎朝、決まった時間に起きて、窓をあけ、太陽の光を浴びましょう。目から光の刺激が届けられ、脳の体内時計がリセットされます。

部屋にあまり日がささない場合は、室内照明をつけて明るさを強くしてもよいでしょう。また、早起きがつらい場合は、起床の時間に少しずつ明るくなるタイマーつきの照明を利用し、その光で目覚めるようにするという方法もあります。

 

2.3度の食事は規則正しく。特に朝食は大切

末梢時計を調整する信号は食事(血糖値の上昇)ですから、3度の食事を規制正しくとることで、リズムがととのってきます。特に朝食は大切です。起床後1時間以内に食事をすることで、末梢時計がリセットされ、主時計のリズムと同調して、その日のリズムがつくりやすくなります。

朝食には、質や量も大切です。野菜ジュースだけというような朝食では量が少なく、体内時計がリセットできないという実験報告もあります。

炭水化物はリセット効果が高い栄養素ですから、米飯やパンなどの炭水化物が豊富な朝食がよいでしょう。一方、夕食は魚や肉などたんぱく質が豊富な食事にすると、メラトニンの分泌をうながします。

 

3.昼間はできるだけ外へ出る機会をつくる

家にひきこもってばかりでは、生活にめりはりがなくなり、運動も不足します。運動は、全身にある末梢時計の微調整のためにも必要です。

また、昼間は明るいところで過ごすことも大切です。そうすることで、メラトニンの生成が活発になります。太陽を浴びながら、軽いウォーキングなどをするとよいでしょう。寝つきもよくなります。

 

4.毎日、できるだけ人とふれ合う

人と会い、話すことで、社会のリズムを感じとることができます。体内時計の調整には、家庭や仕事や遊び、また、温度や湿度、騒音など、さまざまな環境因子がかかわっています。

 

5.生活の記録をつける

起床時間や就眠時間、食事、運動、家事など、毎日の自分の行動を記録してみましょう。食事が乱れていないか、過眠になっていないかなど、自分の生活リズムを見直すことができます。

 

 

体内時計のリセットには朝の光と食事の両方が必要

地球の1日は24時間ですが、人間が本来もっている生体リズムは25時間です。そのため、光や音や温度が1日じゅう変わらない環境で生活すると、人間は25時間ごとに寝たり起きたりするようになるといわれています。

この25時間のリズムを、24時間単位で生活するように、ズレをリセットしているのが体内時計です。また、体内時計には自立神経やホルモン分泌などをコントロールする働きもあります。

そのため、不規則な生活になって体内時計のリズムが乱れると、自律神経やホルモンの働きもおかしくなります。自律神経がコントロールしている内臓の働きが悪くなる、血圧が不安定になる、疲れやすくなる、抗ストレス作用のあるホルモンの分泌が少なくなってストレスに弱くなるなど、心身にさまざまな影響が出てきます。

毎日の生活リズムは、"意識して"ととのえていくことが大切なのですが、ポイントは2種類の体内時計(主時計と末梢時計)を同調させることです。

たとえば、早起きをして朝日を浴びても、朝食を抜いていると、末梢時計はリセットされずに、2種類の時計がバラバラに働いてリズムは乱れます。

1日のスタートは、太陽の光と食事の両方が必要なのです。

 

 

 

ストレスをためずに、上手に解消する生活のコツ

パニック障害やPDSDの人は、ストレスに弱い傾向があります。入浴や腹式呼吸など、緊張状態を自分でほぐす方法を見つけ、毎日続けていきましょう。病気によい効果もあります。

身近にあるストレス因子に要注意

パソコン作業

パソコンは、いまや企業だけでなく家庭にも普及していて、多くの人が気軽に使うようになっています。ただし、パソコンは健康面見るとさまざまな問題を含んでいます。根をつめてパソコンに向かっていると、肩、腰、目に疲労が生じ、それがストレスになります。

パソコン作業に集中すると、使用時間が長くなりがちですが、できれば1日1時間以内にとどめましょう。

 

ネットでのやりとり

携帯メールや、掲示板の書き込みなどは、相手と直接会わなくてもコミュニケーションができて便利ですが、注意も必要です。ネットでのやりとりは、ややもすると言葉だけがエスカレートしていきます。

誤解をまねき、人間関係のトラブルが生じやすいため、心の病気をもつ人にとっては大きなストレスになります。一方、相手の表情やしぐさを見たり、声を聞いたりして、5感を使ってかわす会話は、脳のさまざまな領域をバランスよく使いますので、理解を深めます。日ごろから人間的なふれ合いをもつことは、不安な心を支え、脳の活性化にもなります。

 

テレビゲーム

自宅で手軽にバーチャルな世界に入り込めるテレビゲームは、ときに現実逃避の手段になります。のめり込んでいる間は、目の前の不安を忘れられるからです。

ただし、ゲームは本当の意味での不安解消とはなりません。長時間ゲームを続けて生活リズムをくずすと、ますますストレスを強めることにもなります。

ゲームをするのは短時間にとどめ、運動をとり入れるなどして、ゲーム依存にならないようにしましょう。

 

睡眠不足

パニック障害の人には、楽しいことや好きなことをしていると、時間も忘れて没頭してしまう傾向があります。趣味などを楽しむこと事体はストレス解消になりますが、熱中するあまり、夜更かしをして睡眠不足になっては逆効果です。睡眠が足りないため朝起きられず、しだいに昼夜が逆転した生活になると、体内時計のリズムが乱れ、新たなストレスとなります。

 

蛍光灯の光

パニック障害の人は、蛍光灯がついた部屋にいると、不安感が強まることがあります。これは、蛍光灯の光のちらつき(フリッカー)がストレスとなるためです。少し明るさを落としたり、白熱球やLED電球に変えるとよいでしょう。

このように、ふつうの人にとってはなんでもないことでも、心の病気があると負担になることがあります。周囲の人は気を配って、快適に過ごせる生活環境をととのえてあげましょう。

 

 

自分なりの解消法があるとストレスに負けなくなる

ストレスは、パニック障害やPDSDの発症に大きくかかわります。さらには発作の引きがねになったり、症状を悪化させる誘因にもなります。

ですから、ストレスは上手に処理して、なるべくおだやかな気持ちで過ごした方がよいのですが、心の病気の人はストレスに弱い傾向があります。

それに、現代生活では、健康な人でも、多かれ少なかれストレスは感じているものです。ストレスは、なくそう、なくそうと意識すればするほど、いっそうストレスとなります。

そのことばかりで頭をいっぱいにせず、発想の転換をしたり、工夫をしてましょう。ストレスを解消するためのコツは、、、

  • 日常生活のなかに、ストレスを誘発するものがあり、自分でも気づいていない場合があります。ストレスの原因を知り、対処するようにします。
  • 自分に合ったリラックス法を、とり入れてみるとよいでしょう。自分なりのストレス解消法をもっている人は、ストレスに負けません。

ストレスの解消法については、ストレスの解消法とリラックス法で詳しく書いています。

 

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