パニック障害(不安神経症)認知療法の「認知の再構成」について解説
2017/01/20
なんでも悪いほうへと考える、悲観的な思考パターン。これを自分自身で修正していくのが「認知の再構成」です。最初はうまくいかなくても、つづけていけば回復へのヒントが見えてきます。
認知の再構成の練習
自分の不安を、理論的に見直してみましょう。
1.不安を生む原因となっていると思われる、自分の考え方を書き出してみます。
【例1】
この仕事は私には無理。もし失敗したら、私への評価も最悪になって、仕事をまかせてもらえなくなる。
【例2】
まわりの人はみんな私が嫌いで、無視している
2.自分の考えに、自分自身で質問をぶつけてみます
- その考え方は、はたして現実的か?
- ほかに、どんな考え方がありうるか?
- 自分が考える最悪の事態が現実になったとしたら、どうなるか?
- 恐れているとおりになる可能性は、どのくらいあるか?
- 私がこわがっていることが、本当にこわいという証拠はあるか?
3.質問に照らし、検討して、修正した考え方を書きだしてみます
【修正例1】
この仕事がむずかしいのは、みんなわかっているはず。できるだけやってみよう。結果はどうあれ、全力をつくせば理解してもらえるだろう。
【修正例2】
だれにでも長所と短所がある。私の長所が理解してもらえるように、努力してみよう。
[adsense1]
不安だ、こわいという考え方を直せれば快復に近づく
パニック障害の人は、不安や恐怖にさらされると過剰に反応し、問題をさらに大きくしてしまう思考パターン(誤った思い込み)があります。
たとえば、パニック障害の人は、パニック発作が起こる可能性を実際より大きくとらえます。また、パニック発作によって生じる結果についても、深刻に考えすぎます。発作が原因で死ぬことはないのですが、心の底から死ぬのではないかと恐れます。
さらに、自分のことを実際より弱い存在だと思い込みます。自力で切り抜けられるような状況にあっても、必要以上に恐怖や不安をいだき、最初からダメだとあきらめてしまうのです。
認知療法では、思考パターンの多様性を学習し、「認知の再構成」を医師や臨床心理士によるカウンセリングによって行います。
「不安だ」「こわい」という一種の感情的な反応を、患者さん自身の目で倫理的に見直せるようにアドバイスしていきますが、最初はなかなかうまくいかず、挫折しそうになることがあるかもしれません。
長い間慣れ親しみ、しみついてしまった"心のクセ"を変えるのは、たしかに大変です。
しかし、このクセを直していくプロセスには、回復に近づくヒントがたくさんありますので、ぜひ続けていって下さい。