パニック障害(不安神経症)の抗不安薬「リーゼ」の効果と特徴
2017/01/20
パニック障害の薬の中に、「リーゼ」と呼ばれる薬があります。
パニック障害の薬の間では、よく耳にする薬です。
ここでは、そんな「リーゼ」について詳しく解説していきたいと思います。
抗不安薬「リーゼ」ってどんな薬?
名前: リーゼ
成分: クロチアゼパム
系統: ベンゾジアゼピン系
色形: 白く小さい
パニック障害の薬は、大きく「抗不安薬」と「抗うつ薬」の2つに分けられます。抗不安薬というのは、主にパニック発作を素早く押さえる効果があります。
つまり、不安を取り除き、心を落ち着かせる薬です。頓服みたいなものですね。
リーゼは、抗不安薬に分類されるベンゾジアゼピン系という種類の薬になります。
基本的に、リーゼは1日3回服用が多く、白色で、小さな錠剤です。
[adsense1]パニック障害の薬 「リーゼの特徴」
- 薬の効果は優しい
- 安全
- 副作用が少ない
薬の効果は優しい
リーゼは、効き目が優しい薬として知られています。そのため、初診患者への始めての薬としてよく処方されているお薬です。
いわゆるキツさというのをあまり感じないので、安心して服薬して頂ける薬になります。
安全
処方される時点で安全な薬と言えるのですが、リーゼの場合はより安全と言えます。それは、リーゼが純国産の抗不安薬であることがあげられます。
世の中に出回っている精神薬に多くは、外国で生産されているのですが、リーゼは、デパスなどと共に数少ない日本産の精神薬です。
衛生環境が整った場所で生産されているため、リーゼはとても安全な薬と言えるでしょう。
副作用が少ない
通常、抗不安薬というのは、副作用が出やすい特徴があります。しかし、リーゼは、抗不安薬の中でも副作用が出にくい薬だと言われています。発作がおさまっても、副作用で苦しんでいる人もおられる中で、
副作用が少ないリーゼは、はじめやすい薬と言えるでしょう。
パニック障害の薬 「リーゼの効果と効き目」
リーゼは「ベンゾジアゼピン系」という種類のおくすりです。
リーゼに限らず、ほとんどの抗不安薬はベンゾジアゼピン系に属します。
ベンゾジアゼピン系の効果
ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体という部位に作用することで、
- 抗不安効果
- 催眠効果
- 筋弛緩効果
- 抗けいれん効果
を発揮します。
抗不安効果
抗不安効果は、「恐怖、不安、心配、」といった、不安症状を和らげる効果を意味しています。
催眠効果
寝つきが悪い、不眠症などの不眠症状を和らげて、眠気を誘う効果を意味しています。
筋弛緩効果
筋肉が緊張していたり、体が固まっているような状態をほぐしやわらげる効果を意味しています。
抗けいれん効果
あらゆる個所の体のけいれんを緩和させる効果を意味しています。
ベンゾジアゼピン系のうち、抗不安効果が特に強いものが「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」になり、リーゼもそのうちのひとつになります。
このように、「ベンゾジアゼピン系」は、基本的には先に書いた4つの効果が全てあります。
ただ、それぞれの強さはおくすりによって違いがあり、
抗不安効果は強いけど、抗けいれん効果は弱いベンゾジアゼピン系もあれば、
抗不安効果は弱いけど、催眠効果が強いベンゾジアゼピン系もあります。
ベンゾジアゼピン系「リーゼ」の効果
ベンゾジアゼピン系に含まれる
「リーゼ」の効果はというと、
- 軽い抗不安効果
- 非常に軽い筋弛緩効果
- 非常に軽い催眠効果
- 抗けいれん効果はほとんどない
などの効果が期待できます。
軽い抗不安薬効果
軽く、不安や心配、恐怖感を緩和する効果を意味しています。
非常に軽い筋弛緩効果
筋肉が緊張していたり、体が固まっているような状態を軽くほぐしやわらげる効果を意味しています。
非常に軽い催眠効果
寝つきが悪いなどの不眠症状を軽く改善する効果を意味しています。
抗けいれん効果はほとんどない
体に起こるけいれんを緩和する効果はほとんどないことを意味しています。
リーゼの効き目は、現在、処方されている抗不安薬の中では、非常に緩やかな効き目になります。
そのためか、リーゼは、あまり効き目ないと言われる方もおられますが、
始めて、抗不安薬と飲まれる方や、軽い症状の方には、よく効き目が現れる薬だと思います。ご自分の状態や環境に合わせてリーゼを使って頂ければと思います。
リーゼで効果が出ない場合、効き目がリーゼよりも強いデパスを服薬される方が多いようです。デパスも国産の精神薬で、リーゼと同じ、ベンゾジアゼピン系の薬になります。
パニック障害の薬 「リーゼの効果時間」半減期
リーゼの血中濃度半減期は、5時間程度になります。
半減期とは、血液中の薬の成分が半減するまでの時間をいいます。
つまり、服用してから、5時間後には、薬の効果が徐々に薄れてきて、薬が効かなくなっていくということです。
効果の発現時間
発現時間というのは、薬を飲んでから、薬が効き始める時間をいいます。リーゼの発現時間は15分~20くらいの時間と言われています。
抗不安薬は、効き始めるのが早い薬ですので、発現時間になると、急激に効いてくるような感覚におそわれます。
リーゼの効き目は、6時間を過ぎると効き目が弱くなっていくため、1日薬の効果を保ちたい場合には、1日3回の服用が必要になります。
リーゼよりも半減期が長い薬、すなわち、薬の効果が長い薬を使えば1日回の服用で済むので、楽になります。こう言われると、半減期が短いリーゼには魅力が少ないように感じるかもしれませんが、
そんなことは、ありません。半減期が短いことで生まれるメリットもあります。
半減期が短いのは、悪いことではない
薬の効果を1日中効かせたい場合は、リーゼを複数回飲まなければいけませんが、
逆に、
「特定の時間だけ効いてほしい」のであれば、半減期は長すぎない方がいいのです。
例えば、「朝の通勤ラッシュの電車の中では、強い緊張と不安を感じるんだけど、その時だけ効かせたい」ということであれば、
朝、電車に乗る前だけ、リーゼを飲めばいいわけです。
そうすれば、朝の電車の中ではしっかりと効いていますが、午後には効果がなくなっています
効き目が短くても、使い方しだいで、メリットもあるということです。
パニック障害の薬 「リーゼは依存になりにくい」
一般的に、抗不安薬は、副作用や依存性が高いと言われています。薬を飲んで、発作症状は治まったけど、重い副作用に苦しんだり、薬に依存してしまい、やめられなくなる人も大勢おられます。
薬もタバコと一緒で、長期間使用していると、それがあたりまえになり、使用していないと不安で耐えられなくなっていきます。また、無理に薬を断つと、離脱症状が出る人もおられるので注意がひつようです。
しかし、リーゼは、効果が弱いため、依存になりにくい特徴があります。
そう意味でも、できれば、リーゼで症状を緩和させたところです。
パニック障害の薬 「リーゼを飲むタイミング」
リーゼを飲むタイミングは、人によりさまざまです。
電車に乗るとパニック発作が出る人の場合
電車に乗ると、不安になりパニック発作が出やすいという人は、電車へ乗り込む前にリーゼを飲んでおくと効果的です。あらかじめ、発作が起こる場所や場面がわかっている場合は、事前に飲んでおきましょう。
急にパニック発作が起こってしまった場合
いつも発作が起こる場所ではない所で、急にパニック発作が起こってしまった場合は、なるべく落ち着いて、すぐにリーゼを飲んで下さい。そうすると、10分後くらいには、徐々に薬が効いてきます。
外出中は、いつでもすぐに薬が飲めるように、お水や薬は携帯しておくようにしましょう。
パニック障害の薬 「リーゼの飲み方と限度」
基本的には、医師から決められた量を服用してください。
ちなみに、1回で服薬できる薬の量は6錠まです。
1錠で効かなければ、1錠増やしたり、逆に効きすぎる場合は、半上錠にして服用していき量を調整していきます。量を調整する場合は、事前に医師に相談し適切な指示をうけてから行うようにして下さい。
パニック障害の薬 「リーゼの副作用」
リーゼの優れた特徴として「安全性が高い」ということがあげられます。重い副作用はほとんどありません。比較的多いのは、以下の副作用です。
- 眠気
- ふらつき
- けん怠感
- 脱力感
などです。
それほど心配いりませんが、車の運転や危険な作業は控えたほうがよいでしょう。また、高齢者は薬による副作用が出やすいと言われているため、注意が必要です。
服薬後にふらつきから転倒につながったり、昼間からボーッとしてしまうことがあります。このような場合は、服用量を適切にコントロールする必要があります。医師に相談をしましょう。
しかし、安全性が高いといっても、むやみに量を増やすと、薬に頼りがちになり やめにくくなってしまいます。決められた範囲内で服用するようにしましょう。
また、定期服用中に急にやめると反発的な症状がでることがあります。イライラ、不安感、ふるえ、かえって眠れない・・といった症状です。自分だけの判断で止めないで、医師の指示のもと徐々に減量すれば大丈夫です
パニック障害の薬 「リーゼの服用時の注意」
病院での受診時
アレルギーや、持病がある人は、事前に医師へ伝えておきましょう。飲み合わせの問題もありますので、診察時点で、別の薬を服用している場合は、伝えましょう。妊娠中である場合は、先に伝えましょう。
服用できない人
重症筋無力症や急性の緑内障を起こしている人には使用できません。
服薬注意の人
高齢の人は副作用がでやすいので、少量ではじめます。また、呼吸器系に病気がある方、心臓病、肝臓病、腎臓病、脳に病気がある人。
飲み合わせと食べ合わせ
別の安定剤や抗うつ剤などメンタル系の薬と併用すると、強く効きすぎたり、副作用がでやすくなりますので注意が必要です。服用中の薬があるときは、必ず医師に伝えておきましょう。
また、飲酒は控えてください。副作用が強まるおそれがあります。
使用にあたっての注意
・医師に指示をされた容量用法を必ず守りましょう。
・パニック発作ではなく、日常で感じるイライラや軽いストレスの解消のために安易に飲むべきでありません。心身症の治療を目的にするなど、医師のきちんとした診断のうえで使用する必要があります
・長期間にわたって服薬している時に、自分の判断だけで服薬を中止してはいけません。急に飲むのをやめると、反動でイライラしたり、強い不安感、離脱症状を生じることがあります
まとめ
リーゼは、効き目が弱く、非常に緩やかな効き目をえがきます。しかし、はじめて、パニック障害の薬を飲む人や発作が軽い症状である人にとっては、始めやすい抗不安薬です。
それは、効き目が弱りことで、副作用が少なかったり、依存になりにくいこともあげらます。
重い症状の人がリーゼを飲むと物足りなさを感じる可能性が高と思いますが、症状が軽い人や初めての人には、よく効くことがほとんどです。
いきなり、効き目が強い薬から飲んでしまうと、強い副作用が出たり、体が強い薬になれてしますので、あとで弱いリーゼを飲んでも効かなくなります。
かならず、服薬治療をする場合は、効き目が弱い薬(リーゼ)から始めることをおすすめいたします。
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